監督:野村芳太郎
主演:緒形拳、岩下志麻

松本清張原作の映画『鬼畜』を観ました。
――小さな印刷屋を営む社長で職人の竹下宗吉(緒形拳)、会社を切り盛りする宗吉の妻(岩下志麻)夫婦のもとに三人の幼子を連れた宗吉の妾・菊代(小川真由美)が押し掛けてきて、菊代はそこに子供たちを置き去りにして逃げてしまう。
子供らが目障りな妻。妻に頭の上がらぬ宗吉。
やがて一番下の子を衰弱死させてしまうと、せきを切ったかのように妻は宗吉に残りの二人の処分をせがみ宗吉は実行する――。

まあこんな内容でして、大人たちのだらしなさ身勝手さに振り回される子供らが気の毒だし、親に捨てられる・殺されかける経験をした子供の人格形成を考えると暗~い気分になりました。

で、私がこの映画で心に残ったのは宗吉の妻の気持ちです。
旦那に浮気され騙されていた、ということもそうですが「自分に子供が無い」というのが負い目であり怒りだったのかなと。
これで会社の経営がうまくいってたらまだ逃げ道があって子供らに殺意を向けなかったんじゃないか?

というか、そもそも金があれば妾が押し掛けてくることもなかった。
そう考えると虚しくなります。金がないと不幸になるんだな。

でも、宗吉のような男が金を手にしたから不幸が始まった気もしますし、なんか複雑です。

そしてもう一つ。
宗吉の犯罪は、現代日本では難しいでしょうね。
街のいたる所に監視カメラが設置されていますから。
知らず知らず監視されている不気味な社会ではありますが、犯罪抑止という面では役に立ってるんだなと、まさか『鬼畜』で思うとは意外でした(笑)